東京建物株式会社

東京建物株式会社

東京建物株式会社

東京建物株式会社様は、1896年(明治29年)に旧安田財閥の創始者・安田善次郎によって設立された日本で最も歴史ある総合不動産会社です。創業以来、安田善次郎が旨とした「お客様第一」の精神と、時代の流れを先んじて捉える進取の精神を企業活動の原点とし、様々な地域の魅力と価値向上に貢献するとともに、時代のニーズを捉えた新しいアセットの開発をはじめ、多様な不動産開発事業を東京建物グループ全体として展開しています。
都市開発においては、創業以来本社を構える、東京駅前の八重洲・日本橋・京橋(通称:YNKインク)エリアにおける大規模再開発プロジェクト「東京駅前八重洲一丁目東B地区市街地開発事業」に参画するなど、革新的なプロジェクトを複数推進しています。また、住宅事業では、「Brillia」ブランドで展開する分譲マンションをはじめとした、質の高い住環境を提供し、顧客満足度調査においても高い評価を獲得しています。

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東京建物株式会社人事部

健康経営へのきっかけ

東京建物グループでは役職員が心身ともに健康で活き活きと働くことができるよう、社長を最高健康経営責任者(CHO)とし、「グループ健康経営宣言」に基づき、グループ役職員一人ひとりの健康維持・増進に向けた取り組みを行なっています。また、マテリアリティの一つとして「従業員の成長と働きがいの向上」を特定し、その実現のため、健康経営の推進に関するKPI・目標として「健康診断受診率および再検査受診率毎年100%」「喫煙率毎年12%以下」「適正体重維持者率 2028年度までに75%以上」を設定しています。

当社は、2016年に健康経営優良法人制度にエントリーをし、2017年には初めて健康経営優良法人ホワイト500の認定を受けました。健康経営と銘打って行なっていたわけではありませんが、2011年からすでに健康診断受診率100%を実現していました。もともと個々の健康に対する意識は比較的高かったかと思いますが、まだ体系立てて取り組みができていませんでした。2016年のエントリーを機に健康経営に対する意識をさらに強めていきました。

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健康チェックへの取り組み

インタビュアー

健康経営というと幅広いですが、まずはどういったことに取り組んだのでしょうか?


ご担当者様

健康経営に取り組んでいくにあたり、まずは役職員の健康管理に注力をしました。病気の早期発見、治療のために35歳以上の定期健康診断項目の拡充を行いました。検査項目は、人間ドックと同じ項目に設定しています。また、企業内での集団歯科検診の実施や特定保健指導(メタボなど)などの取り組みを健康組合と一緒になって進めました。こうした活動を通して、東京建物が健康経営に取り組んでいることを役職員に知ってもらえるように努めました。加えて、健康経営に関する役職員への発信においても工夫をしました。当社の社内掲示板は日々非常に多くの情報が流れますが、そこで見落とさずきちんと見てもらえるようにタイトルを工夫したり、より多くの役職員に見てもらえる時間や曜日を分析して発信するといった小さな工夫をしました。

また、身体的な健康だけでなく、メンタルヘルスも重要だと考えています。毎年Webサービスを用いてストレスセルフチェックを実施しています。役職員は、健康組合が提携するメンタルヘルスカウンセリングを利用できます。2016年からは精神科顧問医と連携し、復職支援のサポート体制を整えています。併せて、メンタルヘルスに関する様々な研修を通じて啓発活動も実施しています。例えば、スポーツトレーナーを講師として招いての新入社員向けセルフケア研修や新任グループリーダー向けラインケア研修など、役職員全員にメンタルヘルスの重要性を理解してもらうとともに、メンタルヘルス不調の早期発見と予防に取り組んでいます。


インタビュアー

コロナ禍でも継続して取り組まれていたことはありますか?


ご担当者様

コロナ禍で継続が難しい取り組みもありました。特に歯科検診で直接口腔内検診することは、コロナ中非常に難しくなってしまったので、Web歯科問診に切り替えて継続しました。せっかく社内でも健康経営の機運が高まっている中で簡単にやめるのはもったないと思い、なんとか継続できる形を模索した結果出した答えでした。単純に歯科検診を行うという観点だけでなく、役職員一人一人が健康に対する意識を高め、自ら予防歯科に取り組み定期的にクリーニングに行くようになることを目指しています。健康診断の検査項目改善という大きな取り組みから社内掲示板の工夫といった小さな取り組みまで地道に行なってきたことで、現在では多くの役職員が自社が健康経営に取り組んでいることを理解してくれていると感じています。

禁煙への取り組み

インタビュアー

禁煙という観点では何か取り組まれていることはありますか?


ご担当者様

2017年からは禁煙にも取り組み始めました。まずは5月31日の世界禁煙デーに、就業時間内禁煙を実施しました。

次に2019年10月~は毎週月曜日・金曜日を禁煙デーとし、就業時間内禁煙を実施し、2020年4月~は就業時間内全面禁煙を実施(休憩時間は除く)しました。そして、現在も毎年社内の喫煙率を12%以下にする目標を掲げて活動しています。


インタビュアー

喫煙率12%以下という目標は非常に難しい目標かと思いますが、どのような工夫をされていますか?


ご担当者様

単純に健康のために禁煙しようというのは簡単ですが、データに基づいて現状分析を行なった上で取り組みました。当社では年に1回健康意識調査を行なっています。この調査で現状喫煙している人がどういう状態なのかを事前確認しました。12%という数字は国が目標値として設定している値で「きっかけがあればやめたい」などやめたい気持ちはある人が禁煙できた場合の数値です。この値に対して、自社の調査も踏まえても12%は十分に達成できる数値だと感じていました。せっかくやめたい気持ちがあるのであれば、会社が後押ししてあげようという気持ちもあり、この目標値に向けて動きました。

また、喫煙している人の中でも場所があるから吸ってしまう人も一定数いて、場所がなければ吸わない人も多いのではないかという仮説もあり、就業時間内禁煙を実施することで後押ししました。 それ以外にも当社だけの観点ではなく、国際的に喫煙による問題が多く上がっていますのでやはり取り組むべきと判断しました。


インタビュアー

この取り組みを通して気づいたことを教えてください。


ご担当者様

タバコを吸う時間をコミュニケーションの時間としているケースもありました。私たちは、喫煙所でしかコミュニケーションが成り立たない状態は良くないと考え、コミュニケーションを促進できるような取り組みも同時に行っていきました。その1つとしてウォーキング大会があります。昨年はグループで1,700名以上が参加する規模にまでなりました。このウォーキング大会を共通言語として他部署とのコミュニケーションのきっかけにしたり、同じ部署内でもコミュニケーションの促進になったと反響がありました。

そういった地道な活動もあり、喫煙率は2022年5月時点で12.1%まで低減しました。喫煙をやめたことにより健康改善効果が多いに期待できますので、この取り組みは引き続き取り組んでいきます。

自主的に健康へ取り組めるように

インタビュアー

昨年はどのようなことに注力して取り組まれましたか?


ご担当者様

昨年は、「自主的に健康維持、増進に取り組めるように」というメッセージを送りました。会社として色々プログラムなどを準備することももちろん大切ですが、役職員一人一人が自ら健康維持、増進に取り組めるようになってほしいという思いで活動しました。

実際にはラグビー日本代表のコンディションを担当する会社様と一緒に「コンディショニング」をテーマとしたセミナーを行なったり、運動プログラムを実践したりしました。単純にセミナーをして終わりではなく、基礎的な情報をセミナーで学んだ後で実際にその場でヨガを簡単に行なってみるなどしてグッドコンディションづくりの意識付けになるよう工夫しました。

女性の健康づくり

インタビュアー

「女性の活躍」という観点では何か取り組みはされていますか?


ご担当者様

2021年からは「女性の健康づくり」というテーマにも取り組んでいます。この取り組みは女性社員だけに行うのではなく、男性社員も含めた全役職員を対象に行なっています。「女性の健康づくり」という大きなテーマを掲げつつ、毎年切り口変えながら行なっています。

昨年は、その中でも「プレコンセプションケア」というテーマで様々な取り組みを行いました。「プレコンセプションケア」とは、は若い男女が将来のライフプランを考えて日々の生活や健康と向き合うことで次世代を担う子どもの健康にもつながるとして近年注目されているヘルスケアです。早い段階から正しい知識を得て健康的な生活を送ることで、将来の健やかな妊娠や出産につながり、未来の子どもの健康の可能性を広げます。特に男性が女性の健康について知る機会はあまりないと思います。そのため、こういったことをきっかけに理解がより進み、育児休業などの話の際にも同等の知識レベルで会話できるようになればよいなと思っています。意外だったのはこの取り組みは女性よりも男性からの反響が多かったことです。知りたいと思っていてもなかなかそういったきっかけがなかった男性が多かったのではないかと思います。禁煙の取り組みもそうですが、リテラシー向上になれば良いなと思います。

また、女性の健康に関する知識をつけるという点以外では他にもさまざまなことに取り組んでいます。実際に2023年6月からはダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンやウェルビーイングの観点で東京スクエアガーデンをはじめとした当社が運営するビル(一部)の女性トイレに生理用品を設置しています。昨今は、女性の健康などをはじめとした様々なテーマが議題に上がってきます。当社としてはそういった新しいテーマに理解や注目はしつつ、自社にとってどの程度ニーズがあるのか、果たして実施していくべきなのかを健康意識調査などを通してチェックしています。その上で当社にとってフィットする形で推進していくことを意識して取り組んでいます。

即座に動ける体制

インタビュアー

ワクチン接種についても素早い取り組みをされていましたが、なぜスピーディーな対応ができたのでしょうか?


ご担当者様

2020年からコロナが始まり、未知のウイルスということで当社だけでなく全企業様が非常に難しい対応を迫られたと思います。通常、東京建物グループでは何か施策展開をする際、各グループ会社から挙手制で参加企業を募るようにしています。コロナ禍のワクチン職域接種では東京建物グループの全企業が「一丸となってやっていきたい」と手を挙げてくれました。ワクチンが出来てからもなかなか接種会場が設営できない大変な中で、全グループ企業が社会のために取り組もうと動けたのは非常に良かったと思います。インフルエンザワクチン集団接種は既に行っていたので仕組み自体はある程度理解はしていましたが、複雑な対応が求められるコロナワクチンですので不安なことは多かったです。

しかし、役職員、そのご家族、お客様に対してできるだけのことをやりたいという思いからすぐに接種会場としてのエントリーを行いました。普段から健康経営に対して意識高く取り組んでいたおかげで当社だけでなく、全グループ企業が感度高く率先して取り組んでくれたのだと考えています。また、これを機に役職員の評価も変わったと思います。もともと会社として健康経営に取り組んでいることは理解してくれていたと思いますが、コロナワクチン接種を真っ先に取り組んだことにより、健康経営に邁進していることをより理解してもらえたのではないかと思います。

まとめ

東京建物様の取材を通して、健康経営に対する意識の高さが強く伝わってきました。また、ただ健康経営になりそうなものを行うのではなく、「自社にはフィットするか」、「本当にやるべきなのか」をデータを通して事実と照合させながら取り組まれていました。

今後も健康経営を含めた様々な活動を通して、よりよい社会の実現に貢献していく姿勢を強く感じました。

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この記事を書いた人

有村健一朗

一般社団法人Heart Saver Japan BLS+AEDプロバイダー認定保有。
大手金融会社で経験をスタート。その後、マーケティングコンサルのベンチャー企業などを経て、現職に。ECサイト運営や会社のマーケティング業務に従事し、戦略立案から施策の実施まで幅広く担当しています。G検定、SEO検定、Google広告、マーケティング検定、韓国能力試験6級などの資格を保有中。